ようこそダブリン日本子女補習校へ
1977年当時、いくつかの日本企業がアイルランドに進出しており、駐在員の家庭では、ご子息の日本語教育に苦慮されていたとのことです。そして、保護者及び有志の方々が中心となり、子どもたちが帰国してからも日本の教育に適応できる学力や素養を身に付けさせてあげたいという願いから、2月5日に補習教室がそして9月17日にダブリン日本子女補習校が設立されました。
本補習校は、設立以来、日本企業懇話会、在アイルランド日本国大使館をはじめ歴代の保護者の皆様に公私にわたり多大なるご支援、ご協力を賜り現在に至っています。学校運営委員やボランティアの保護者、教員が連携し、週に1度意欲に満ちた子どもたちが集い、落ち着いて学び合うことのできる環境を整えています。
近年では、コロナ禍において補習校の運営について、運営委員会、保護者、教員が案を出し合い、2020年度はオンライン授業、2021年度からは対面授業を再開しています。これにより子どもたちの学びを止めることなく学習活動を継続することができました。2023年度からは、安全管理や協力体制等の再確認がなされ、4年ぶりに対面で全員参加の入学式や朝の会が復活しました。それにより、発表の場や交流の場が広がり、子どもたちは年齢を超え仲良くのびのびと安心して学んでいます。
本補習校は、子どもたちに日本国内の学齢相応の学力を身に付けることを目的としています。このため、定期的に各種学力検査(NRT,CRT)を行い個人の学力定着度を確認しています。
なお、学習においては、基礎・基本の内容を日本語で身に付けるとともに、「主体的対話的で深い学び」の視点から、自分の意見をしっかりもち、意見を出し合い皆でつくりあげる学習を目指しています。さらに、子どもたちが異なる環境にある一人ひとりの意見をしっかり聴くことにより、相手のことを慮ることのできる人間性の高い子どもたちに育って欲しいと願っています。
また、本補習校に通う子どもたちは、アイルランドで生活し、アイルランドの文化に触れ、現地校に通い英語で教育を受けています。補習校のある土曜日は、日本語で日本の教育内容を学ぶと同時に礼儀や道徳心など日本式の教育の良いところも身に付けています。このように、子どもたちは2つの言語で2つの国の教育を受けることにより幅の広い考え方ができ、将来、日本とアイルランドの懸け橋となるとともに、今、日本で求められている真のグローバルな人材に成長するものと期待しています。
2023年8月 ダブリン日本子女補習校校長 坂田哲朗